7月4日/第2日目
●決勝トーナメント進出をかけた熱戦!!

 大会2日目となる7月4日、全日本実業団選手権は、前日に引き続き、決勝トーナメント進出をかけた一次リーグが行なわれた。3、4チームによって構成された各リーグは1位のみが決勝トーナメントへ進める。
 明日の決勝トーナメントで、男子は勝てば32強以上、女子は8強以上が確定する。

第2日目
●因縁対決。山陰合同銀行が百十四銀行に勝利

 今年2月に開催されたチャレンジリーグ女子では、全勝で最終試合を迎えた山陰合同銀行(島根)と百十四銀行(香川)が対戦し、3-0で山陰合同銀行が勝利、2部進出を決めた。全日本実業団2日目は、くしくもこの2チームが互いに全勝で顔合わせし、どちらにとっても負けられない試合となった。
 緊張感が漂うなか、勝利を決めたのは山陰合同銀行。今春、ルネサスから移籍した横山めぐみエース濱崎が先制すると、丸岡/樋渡(右写真)も1ゲーム目を奪われながらも逆転。すると、ふたたびコートに立った濱崎が、連戦の疲れを感じさせず、相手のポイントゲッター落合を14本、10本で下して勝利を決めた。
「今回の目標はベスト8以上。まずは決勝トーナメント進出を決められてよかった」
 こう振り返るのは、コーチ兼選手の丸岡だ。自身が2試合目で1ゲームを奪われたのは、第3試合のシングルスで相手の得点源と戦う濱崎が楽に戦えるよう、2試合目を勝ってあげたいという思いがあり、焦りが出たという。
 じつはこの山陰合同銀行は、数年前、部員数が2人となり、全日本実業団や日本リーグに出場できない時期があった。しかし、その後、国体で上位へ進出するなど、個人としての実力を示し、ふたたび実績ある選手を集められるようになった。
「今では会社に“1部を目指せ”と言われています。応援してもらっている感謝を忘れず、明日、勝って、土曜日に日本ユニシスと当たることになったら、勝ちに行く気持ちで頑張ります」(丸岡)
 山陰合同銀行は、苦しい時代を得たからこそ、強い相手にも果敢に立ち向かう精神を持っている。

第2日目TOPICS
●日本代表・朴柱奉ヘッドコーチから働きマンへアドバイス

 大会2日目、日本代表の朴柱奉ヘッドコーチ(写真)が会場を訪れた。日本代表クラスがまだ出ていない全国大会の序盤戦を観るのは初めてという朴ヘッドコーチ。大会2日目、出場者の大半を占める仕事とバドミントンの両立に頑張る選手たちへアドバイスを送った。

「ネットプレーを磨けば、もっと点がとれる」

「今日、会場にいる選手たちは、仕事をしっかりやってから練習するバドミントンが大好きなクレイジーな人たちばかりでしょう(笑)。日本代表と比べたら、たしかに差はあるかもしれませんが、集中している目を見ていると、どれだけ真剣にやっているか、気持ちが伝わってきます。清々しいですね。
 そんな方々にアドバイスするとすれば、普段の練習ではゲーム練習だけでなく、基礎打ちに時間をかけ、パターン練習も取り入れてほしいということ。練習時間が限られているのはわかります。でも試合前だけでもいいので、弱点を補強する部分練習は本番で効いてきます。
 また、全体を見て感じるのは、ネット勝負がとても少なく、しててもミスが多いこと。ここを磨けば、もっと点が取りやすいのにと感じます。ネットプレーを身につけるのには、時間がかかりますが、逆をいえば苦手な人が多いので一度身につけたら有効な武器になるはずです」

 朴コーチは、1992年バルセロナ五輪男子ダブルス優勝をはじめ、国際舞台で数々の栄光をつかんだ。かつて「ダブルスの神様」と呼ばれた氏からの珠玉のメッセージだ。

第2日目TOPICS
●各チーム横断幕いろいろ

 会場では色とりどりの横断幕が雰囲気をいっそう華やかなものにしてくれる。さらに横断幕に書かれた勇ましいスローガンが選手に責任感とやる気を促す。
 ここでは各チームがどんな横断幕を掲げているか、紹介しよう。
 地元で上位常連のJR北海道は「北の大地に今スマッシュ!」。松村元監督によると、国鉄が民営化した87年にOBがこしらえた横断幕で、四半世紀にわたり、チームを見守り続けてきたという。
「当時、北海道で一番強かったNTT北海道さんがとても立派な横断幕だったので、うちもとOBが作ってくれたのでしょう」(松村元監督)
 また、企業キャラクター・ヤン坊マー坊が打ち合っている絵の間に、真っ赤な文字で「闘魂」という熱い文字を染め抜いたヤンマー(大阪)も個性的だ。ほかにもこんな横断幕があった。
「挑み続けるスピリッツ」(ウエンブレー・東京都)
「終わりなき挑戦」(JTEKT・愛知県)
「不撓不屈」(富山トヨタ自動車・富山県)
「Challenge Spirit」(セーレン・福井県)
「必勝!」(山陰合同銀行・島根)

 さらに企業の業務とスローガンをがっちりと結びつけたと思われる横断幕も…。「勝利目指して完全燃焼!」は広島ガスのスローガンだ。ガスの不完全燃焼は生命の危機に関わる…。広島ガスの横断幕には、安全への決意も込められている…のかもしれない。

第2日目TOPICS
●参加チームの横顔~エースによるチーム紹介

出光興産
(千葉県)
今西哲也

「決勝トーナメント1勝が目標です!」

じつは一次リーグがきつかったんです。最初から1回も勝ったことのない千葉県警さんと当たって…。その相手に勝てたときは本当にうれしかった。また今大会は北海道開催ということもあって、数年前から出場を狙っていました(笑)。チームは徐々に若返って日々成長しているので今回の目標である決勝トーナメント1勝を成し遂げたいです。(一次リーグ2位)

YONDEN愛媛
(愛媛県)
門田知親

「来年の四国開催に備えたい」

同じ会社ということもあり、香川県の四国電力とは月に一度、合同練習を行ない、協力しあって強くなろうとしています。どの人も御多分にもれず、仕事は忙しいのですが、チーム内で競争意識を高めるなどしてレベルアップにつなげています。20代後半が多い若いチームなので、来年の四国(香川)での大会に合わせ、いっそう頑張りたいです。(一次リーグ2位)

警視庁(東京都)
村上文江

「地域の安全を守るとともに、試合でも守り切る!」

警視庁の女子は通算17回、全日本実業団に出場しており、私はうち16回に出ています。モチベーションは全国の人と打ち合える楽しさにある。他の選手たちとは、ここで1勝を掴むことを目標に、この大会に出られるレベルは保っていこうと話しています。また、チームのプレースタイルは守り。できれば本番では攻撃的に行きたいのですが、地域の安全を守るのと同じで試合でも守り切ることがテーマになってます(笑)。(一次リーグ3位)

自衛隊北海道
(北海道)
長原正博

「日々訓練。時間を作って精進」

僕らはまず訓練ありき。日々、厳しい訓練に取り組み、睡眠時間も少ないですが練習時間を確保しようと頑張っています。小学生を教えたり、地域貢献にも励んでいます。ここからいずれ自衛隊に入りたい子がいれば…。北海道ではJR北海道さんが断然強いですが、少しでもいい勝負がしたいという思いでやっています。(一次リーグ1位。中央が長原)

沖縄電力
(沖縄県)
宮良耕太郎

「強い人と打ち合えるのがうれしい」

初戦は2-2で回ってきたあと、ファイナル10-14から逆転勝ちしました。怖かっただけに、勝ったときはうれしかった。じつは沖縄って、実業団チームが極めて少なく、普段から近いレベルのチームと打ち合える機会が少ないんです。だから毎年、全日本実業団で戦うことがすごく楽しみです。(一次リーグ1位。前列中央が宮良)

JP
日本郵政グループ
(東京都)
光井真紀

「全日本実業団が最大の目標です」

私たちは各地にメンバーが散らばっているので、普段はそれぞれ個々で練習するのが基本です。しかし2月、全国の郵政メンバーが集まり、2日間の合宿を敢行。ここで全日本実業団への気合を高めるのが恒例です。そして全日本実業団の後は実戦で得た反省点を持ち帰ってまた来年に備えています。(一次リーグ2位。前列左が光井)

ANA(東京都)
阿部雅大

「初陣は最少の4人で」

今大会が初出場です。これまでもチームはありましたが、全日本実業団に出場するには難しかったと聞いています。今回、戦えるだけのメンバーが揃ったことで大会にチャレンジとなりました。ただ実際、4人は大変。今日は4試合しましたが、きつかったですね。これからはもっと人数を増やして戦いたいです。(一次リーグ3位。前列が阿部)

NTT Communications
(東京都)
本田英洋
山田雄一
西本卓矢
高橋良

「“みんなで強くなろう”を原点に」

「うちでは月に1回、愛好者の方と合同で練習会を催しているんです。勝ち負けだけでなく、みんなで強くなろうというのを原点にしています」(本田・写真左)
「じつは4月の予選のとき、僕は上海に赴任していたんですが、試合しに戻ってこいとチームのみんなが旅費をカンパしてくれたんです。そうなると負けられない(笑)。その赴任も先週解けて、日本に戻ってきたばかりです」(山田・写真左から2番目)
「組合せを見たとき、トナミ運輸まで行けると思った。この大会にかけてます!」(西本・写真左から3番目)