7月5日/第3日目
●決勝トーナメント初日。来年のシード権をつかむのはどこだ

 大会3日目となる7月5日、全日本実業団選手権は、決勝トーナメントが行われ、来年のシード権を獲得したチームが決まった。男子は16強以上に、女子は8強以上にシード権が与えられる。
 6日は準々決勝と準決勝が実施される。詳しい試合結果はコチラから。

●準々決勝対戦カード

男子:日本ユニシスVS大同特殊鋼 宇部興産VS日立情報通信エンジニアリング 
   NTT東日本VS南那須精工 JR北海道VSトナミ運輸

女子:日本ユニシスVS山陰合同銀行 ACT SAIKYO VS NTT東日本 
   岐阜トリッキーパンダースVSヨネックス 北都銀行VSルネサス

大会レポート
●愛知県の意地をかけた戦い。大同特殊鋼が抜け出る

 ベスト8を決める第3日目の注目は、山を8つに分けたうちの一つの山に愛知県の実業団が3チーム重なったこと。しかもこの3チームは、愛知県実業団のトップ3なのだからおもしろい。愛知県実業団の13年前期リーグ戦は、1位大同特殊鋼、2位ジェイテクト、3位東海興業と実力が拮抗している。
 今年の全日本実業団では、決勝トーナメント2回戦で大同特殊鋼がまず東海興業に勝ち、続く8決めでジェイテクトに3-2で競り勝ち、地元での結果そのままだった。
 メンバーには、元全中単優勝の三好、インカレ複3位の北林兄弟と実績ある選手がおり、当初のベスト32という目標を超えてのベスト8以上が決まった。右写真は、ジェイテクト戦で勝利を決めたキャプテンの川下。

ジェイテクトはダブルスに課題

 一方、「同じ愛知県同士なので余計に悔しい」と打ち明けたのは、ジェイテクトの川島監督だ。2回戦では、「格上と思っていた」(松本)東北マークスに接戦で勝ったあと、大同特殊鋼に敗れた。東北マークス戦では、ダブルスを奪われたあと、シングルス3本で奪い返したが、同じ展開になった大同特殊鋼戦では、シングルスの3本目がとれなかった。
「ダブルスに課題があることが浮き彫りになりました」川島監督が悔しい顔を見せれば、第5試合のシングルスで惜敗した松本は、「日本リーグは2複1単。秋までにダブルスをなんとかしないと」と決意を表明している。
 昨年度、1部から2部リーグへ転落した東北マークスの主将・小町谷「連戦の疲労がたまり思うように動けなかった」と悔しがり、「うちはシングルスをどうにかしないと」と課題をあげていた。

女子はヨネックスVS三菱電機が最終試合にもつれる熱戦

 女子の8強決めは、多くの対戦が3-0で勝負が決まる中、ヨネックスVS三菱電機は最終試合にもつれる熱戦となった。ヨネックスは今春よりパナソニックからシングルスに全日本チャンピオンの今別府香里を、ダブルスに元日本代表の内藤真実を加えたが、内藤/土井が逆転負けを喫すると、最終試合まで勝敗は決しなかった。

ACT SAIKYO が広島ガスに勝利

 昨季の2部リーグは4チームが5勝2敗で並び、ゲーム率などで順位が決まる珍しいケースとなった。このとき、1部昇格を決めたのは広島ガスACT SAIKYOは広島ガスに勝っていただけに無念の気持ちは大きかった。それだけに今回のガスとの一戦はACTにとって、自らの実力が1部と決して引けを取らないことを示す格好の場となった。
 第4試合で勝利を決めた原麻衣子「最後、プッシュを決めたときは本当に気持ちがよかった。緊張しすぎて手が震えていたんです」と振り返る。
 じつは、は昨年までルネサスに所属していたが、団体戦で採用される機会が少なく、活躍の場を求めてACTの門を叩いた。
「前回の2部リーグで、ちょっとの差で勝てなかった話は聞いていました。ACTに移籍して、自分がその差を埋められる存在になりたいと思っていました」(原)
 チーム創立から4年目。ここでの結果を弾みに2部リーグ優勝を目指す。

第3日目TOPICS
●日本代表・佐藤翔治コーチが語る団体戦の戦い方

 団体戦には個人戦とは違った喜び、そして緊張がある。この全日本実業団でも、団体戦だからこその笑顔や涙があった。ただ、団体戦では得られる喜びが大きいぶん、平常心を保つのがより難しい。
 団体戦での気持ちの保ち方を、元全日本王者で、日本のエースとして数々の勝負所で勝ってきた日本代表・佐藤翔治コーチに聞いた。

「エースは仲間を信じて。2・3番手はヒーローになろう」

「私にとって、うれしかった団体戦は2010年のトマス杯。当時、ダブルスプレーヤーとして再出発していたんですが、この大会ではシングルスプレーヤーとして出場したんですよ。
 だからシングルスの練習が満足にできていたとはいえない。だけど、初のメダルに大きく近づく強豪マレーシアとの対戦で、2-2で回ってきて私に勝負が託されたんです。
 このとき、自分に言っていたことは“ここで勝てばヒーローになれる“。
 ここでの勝利はチームに貢献できた気持ちが大きかったですね。
 一方、エースとして期待されることの多かったシングルス時代の経験から言うと、エースは自分が勝たなければと思いすぎちゃいけないと思う。過度に自分が…という気持ちは心身の負担を増します。同時に周囲もエースが勝ってくれるだろうという甘えはなくし、エースのプレッシャーをなくしてあげないといけませんよね。エース任せだと、勝ってもチームの一員として戦った手ごたえを得られないですよ。
 話をまとめると、団体戦でエースは自分ひとりで勝負を背負わず、仲間を信じてほしい。そして2、3番手の選手は、エースだけに負担がいかないよう、自分がヒーローになるんだ、勝つんだと思って。エースが目立つんじゃなく、2、3番手が勝って決められたらカッコいいじゃないですか(笑)」

第3日目TOPICS
●参加チームの横顔~エースによるチーム紹介

トヨタ自動車九州
(福岡県)
原田和憲

「日本リーグ2部での戦いに繋げたい」

今年から2部リーグに参戦します。昨年2部4位の東海興業とは、戦前、もっと差があると思ったけど、正直、練習次第でイケると思った。ただ今日、すべての試合で1点を取り切れず負けた。この差を埋めないと。2部リーグでは、厳しい連戦が予想されるので頭を使って勝ちたいです。(決勝T1回戦敗退)

新日鐵住金広畑
(兵庫県)
堤圭吾

「仕事と両立させながら頑張ります」

今年、入社しました。今はまだ仕事を頑張っていると、疲れてしまって練習どころでない状況です。それでも今大会では、32強以上に入ってチャレンジリーグの出場権を掴みたいという思いがありました。これからは早く仕事に慣れて、バドミントンでも応援してもらえるように頑張ります。(決勝T2回戦進出)

ヨネックス
(東京都)
藤巻光善

「やるからには進歩を目標に」

今回、この大会には4人で戦いました。登録者数はもっと多いのですが、僕らがこうして戦う間、会場内での業務もあるので…。普段は週1回の練習を基本に、社内の愛好者の人たちと打って、教えたりもしています。強化練習はなかなかできませんが、それでもやるからには進歩したい。今年は昨年の64強から32強と前に進めたんですよ。(決勝T2回戦進出)

札幌市役所
(北海道)
川島健一

「日本代表クラスの力を体感」

トナミ運輸は強いの一言。一球一球のタッチが早くてすべて先手をとられました。自分たちの展開で点をとれたのは1、2本しかなかった。32強以上の壁は予想以上に厚かったというのが正直な気持ちです。けっこうやれたなんて気持ちは全然ありません。でも、僕らにとって、団体戦の全国大会はここしかない。いい経験になりました。(決勝T2回戦進出)

千葉県庁
(千葉県)
野村和弘

「平均年齢最高のチームです」

今日の出場メンバーのうち、40代が3人で僕は34歳。あとの20代は社会人から始めた選手です。平均年齢は最高じゃないですか(笑)。結果はまあまあ(笑)。こうやってみんなプレーを続けているのは、みんな学生時代、いい成績を残せたわけじゃないし、今も弱いし、強くなりたいからじゃないですかね。(決勝T1回戦敗退、野村=写真右)

豊田通商
(愛知県)
野田郁恵

「最低目標の16強をキープ」

毎年、なんとか16強を保っており、今年も最低16強という目標を達成できました。正直、(昨年2位)日本ユニシスとの対戦は楽しんで。普段、私たちの練習だとスマッシュで押されることはないですが、ぐいぐい押される感覚があって刺激になりました。今後は課題であるシングルスのレベルアップを図りたい。(決勝T1回戦敗退、野田=前列右)