7月6日/第4日目 準々決勝~準決勝
男子決勝は日本ユニシス VS NTT東日本。
女子は日本ユニシス VS ルネサス

 大会4日目となる7月6日、全日本実業団選手権は、準々決勝・準決勝が行われた。7日の男子決勝は日本ユニシス VS NTT東日本、女子は日本ユニシス VS ルネサス。男子は日本ユニシスが勝てば2連覇、NTT東日本が勝てば5年ぶり27回目優勝となる。女子は日本ユニシスが勝てば初優勝、ルネサスが勝てば3年ぶり優勝だ。
 詳しい試合結果はコチラから。

●準々決勝Results

男子:日本ユニシス 3-0 大同特殊鋼
   日立情報通信エンジニアリング 3-0 宇部興産 
   NTT東日本 3-0 南那須精工
   トナミ運輸 3-0 JR北海道

女子:日本ユニシス 3-0 山陰合同銀行
   NTT東日本 3-0 ACT SAIKYO
   ヨネックス 3-1 岐阜トリッキーパンダース
   ルネサス 3-1 北都銀行

●準決勝Results

男子:日本ユニシス 3-0 日立情報通信エンジニアリング
   NTT東日本 3-0 トナミ運輸

女子:日本ユニシス 3-0 NTT東日本
   ルネサス 3-2 ヨネックス

第4日目NEWS
●NTT東日本が完勝。トナミ運輸に3-0で勝利

「完敗も完敗。このオーダーで負けるなら潔く負けを求めるしかない」
 男子準決勝後、トナミ運輸・荒木監督の憔悴しきった姿が、NTT東日本の完勝ぶりを示している。トナミ運輸はチームの最強メンバー、日本代表の平田/橋本、園田/嘉村、佐々木翔を第1試合から第3試合まで出場させる真っ向勝負なオーダーで挑んだ。
 一方、NTT東日本は、町田監督「(ロンドン五輪代表の)佐藤/川前ペアが昨年をもっていなくなり、ダブルスのエースが不在」というチーム状況。この苦境を乗り越えるべく、川前をシングルスのエース・田児と組ませて第2ダブルスに立たせた。
「ダブルス2本のうち、どちらか1本をとって、シングルスに繋げられればという思いでした」(町田監督)
 だから、NTT東日本にとって、ダブルス2本を奪っての3-0の勝利はうれしい誤算だった。


大きく成長したNTT東日本・小松崎&竹内

 まず決勝進出を引き寄せたのは、小松崎/竹内だ。6月のランキングサーキットで2位になったが、ペアとしては全日本3回優勝の平田/橋本の実績には及ばない。そんな挑戦者が心に秘めていたのは、「これからは自分たちがエースにならなければ」(小松崎)という自覚だったという。
 1ゲーム、小松崎/竹内はあえて風上側のコートを選び、より攻撃的に攻めた。すると、平田/橋本は受け身に回り、NTT東日本ペアが17本で先制。2ゲーム目は奪い返されたが、3ゲーム、ふたたび風上側に入った前半で11-5と大きくリードし、後半も5連続得点などで相手らしいプレーをさせなかった。
「じつは成長してほしくて、今大会ではずっとトップダブルスで使い続けていたんです」(町田監督)
 この“意外な”先制に勢いに乗ったのは川前/田児だ。シングルスの世界ランキング5位の田児は、その定評のあるテクニックをダブルスでも発揮。1ゲーム終盤こそ、ロングサービスを打ち抜かれるなどし、19本でゲームを失ったが、2、3ゲームは園田/嘉村をラケットワークで完全に翻弄し、12、13本の圧勝だった。
「さすがの技術ですね。ネット前に立ち続けて川前選手の強打によくつなげていました。川前選手もオリンピック後は精神的に余裕が出てきて、いいペアになっていました」
 こう話すのは、日本協会理事で、元全日本チャンピオン芝スミ子氏だ。

ルーキー桃田が佐々木にストレート勝ちの殊勲

 さらに、トナミ運輸の希望を砕いたのが、18歳のサウスポー桃田賢斗だ。「イメージ通りに勝てた」という桃田は、得意のネットプレーでロンドン五輪代表・佐々木翔の足を何度も止めた。
「1ゲームを取れたあとは(18本)、緊張がなくなってやりたいようにやれて気持ちがよかった」(桃田)と、歓喜に沸くベンチに「どうだ」と言わんばかりの顔を見せた。
 NTT東日本は、大会最多となる26回優勝を誇る古豪だ。勝てば5年ぶりVとなる。日立通信エンジニアリングに快勝した日本ユニシスは2連覇が目標だ。
 なお、女子決勝は初優勝をめざす日本ユニシスと4回目優勝を見据えるルネサスが対戦する。準決勝で日本ユニシスNTT東日本に3-0のストレート勝ちをおさめた。ヨネックスと対戦したルネサスは、末綱/前田、垣岩/福島という日本代表3人が絡むダブルスで2本とったあと、シングルス2本を奪い返されたが、第5試合で社会人2年目の福島由紀鈴木温子を突き放すことに成功した。

●トナミ運輸・荒木監督
「ダブルスは大丈夫だと思っていましたが、この結果です。最初にベテランが負けるようでは、団体戦を戦うチームとしては厳しい。NTT東日本さんは、ここ数年、日本リーグでうちに敗れていましたが、今年は執念が違った。日本リーグでリベンジできるよう頑張ります」

●トナミ運輸・佐々木翔
「0-2で回ってきて自分が勝たなければという状況を重く受け止めてしまった」

●日立通信エンジニアリング・杉山監督
「同じ3位でも、昨年より今年のほうが悪い。サービス周りでペースつかめなかった。長い間、3強(NTT東日本・日本ユニシス・トナミ運輸)の一角を崩すことが目標といいながら、これまで一度も勝ってない。うちやJR北海道がもっと頑張って、バドミントン界をよりおもしろくしなければならないことは分かっている。ただ、これまでの実績を会社に評価してもらい、9月にバドミントン専用体育館ができることになった。練習が充実することは間違いなく、3強を破るきっかけにしたい」

●NTT東日本女子・町田監督
「ダブルス2本のうち、1本をとれなかったのが痛かった。シングルスにつなげたかったですね。松尾と三谷を組ませたのは、松尾のスピードを生かせるのは三谷だと思ったから。現在、ダブルスのエースはいないようなもので、今後は2複1単の日本リーグを見据えて強化をしていくことが課題です」

●ヨネックス・内藤監督
「今別府香里、内藤真実と、パナソニックからの移籍選手が2人、そして私も監督として1年目ということもあり、チームとして戦う気持ちを作ることに力を入れてきました。準決勝のオーダーは今後の成長も願い、エース同士が当たるようにしました。最終試合で鈴木は福島選手に負けましたが、6月のランキングサーキットでは勝っているし、勝つチャンスはあったと思います。うちはシングルスに分があるので、2複3単の全日本実業団では優位な面が多いと思っていたのですが…」

第4日目NEWS
●ベスト8の顔ぶれ~それぞれの胸中

大同特殊鋼
(愛知県)
小川優監督

「17年間の夢が実現」

チャレンジリーグにはここで32強に入る必要がありますが、毎年、壁に阻まれてきました。個人的には入社して17年、チャレンジへの挑戦を思い続けてきたのでやっと念願が実現。これまで強いのは全国で活躍した川下と三好しかいなかったのですが、今年、北林兄弟が入ってきて、チーム内に切磋琢磨が生まれたことで今回の結果につながりました。

宇部興産
(山口県)
安田耕司監督

「一部入りの夢を原動力に」

3年連続8強。日立さんとの準々決勝、結果は悔しいですが、選手は力を出し切れたのでそこは褒めてやりたいです。11年の山口国体以降、主力選手は安堵感があり、一時はモチベーションが落ちた時期はありましたが、地元で後援会を作っていただくなどし、いまは1部昇格を目指して頑張れています。

南那須精工
(栃木県)
鈴木博文監督

「栃木県を活性化したい」

3年前、初めてこの大会に出場しベスト8。以来3年連続で8強に入れました。8強決めで2部のトヨタ自動車にストレート勝ちできたことが大きい。うちはまず仕事が最優先という考え方なので練習時間は少ないですが、それでも1部を狙っていきたい。栃木県のバドミントンを活性化したいという思いもあります。

JR北海道
(北海道)
関野有起監督
竹村純

「地元で完敗という結果が申し訳ない」

「地元開催で今大会を今年一番の目標にしてきたので0-3という結果は申し訳ない。成果はありません。思っていた以上に強かった。私たちも進化していますが、経験値の差が出てしまった」(関野監督)
「チームは僕を得点源として信頼したオーダーを組んでくれているのに負けてしまって悔しい。銭谷選手には4月に勝っていたが、ネット前で先手をとられてロブが甘くなってしまった。今日の会場は風があって、しっかり球を上げた者勝ちだった」(竹村・写真も)

山陰合同銀行
(鳥取県)
田部実智代監督

「部員2名からの再出発」

組合せにも恵まれ、なんとかベスト8に入れました。5月の中国実業団で広島ガス、ACT SAIKYOさんが出場しているなか、優勝できたことがここでの自信につながっています。一時は部員が2名となり、先が読めませんでしたが、こんなに早くここまで来られるとは。感謝を忘れず1部リーグ目指して頑張ります。(写真は横山・左/濱崎)

岐阜
トリッキー
パンダース
(岐阜県)
山田青子監督

「ここからを新しいスタートに」

昨季で梅津が引退したため、現在、うちにはシングルスの主軸がいない状況。なので今回、脇田/江藤が単複兼ねる状況があったり苦しい面がありました。でも最近、根拠地となる体育館ができたので今後は状況が変わる。ここからを新しいスタートにしたいです。(写真は脇田・左/江藤)

北都銀行
(秋田県)
ヌヌン・スバンドロコーチ

「ルネサスと実力はかけ離れていない」

1部リーグにいる私たちにとってベスト8は当たり前。ルネサスにももっとできたはずです。選手たちが思っているほどルネサスとは差がない。経験値の差だけ。選手はそこをわからなければ。今年から移籍した三木/米元(写真)はパナソニックでは2、3番手でしたがうちではエース。今回、その自覚が足りなかったので、鍛え甲斐があります(笑)。